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ブログ再開予定です。


by obsessivision
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仲俣暁生氏のblog「海難記」の2007/10/14「なにが小説をめぐる言葉を息苦しくさせているのか」でふと思ったことについて。もちろん私は「文學界」は読んでいないし、氏の主張を汲んでいるわけでもない。

少なくとも、私はこう思うということを述べるだけであり、以下に述べることは恐らく著名な論者がすでに口の端に載せただろうと予想した上であえて雑感に過ぎない言葉を吐くだけなのだが、批評者、評論者とは、基本的になくてもいい存在なのだと思う。

「敢えて言う」ことほど野暮なものはない。恐らくそんなことをせずとも一次生産者の耳には自作の評価など、出版関係者なり身内から入ってくるものであろうし、そこで敢えて作品の評価をしてみせる、というのは考えてみればまったく下世話な話である。特に頼まれたわけでもないのにしてみせる批評行為の後ろにどのような思いがあるのかなど知る気にもならないが、つまり大抵の市井の批評家など質の悪い二次生産者に過ぎないのである。売文家、エサに群がるゴミ虫けらという口を極めた数々の謗りは、私がアンソロジーといった同人誌を毛嫌いする理由にも共通するものがあるが、結局生産者(=一次生産者)に欲望した消費者の中途半端な気炎でしかなく、それを純粋に作品と呼ぶにはあまりに質の面で問題が大きすぎるのだ。それはいかに内容が充実していようとも二次作品という時点でオリジナリティーという決定的な魅力を欠いている。そして、二次作品が書店に並ぶ光景に、“消費者”の姿に、低劣さ、あさましさを見てしまう、この曰く言いがたい嫌悪感や侮蔑は恐らく、評論家や批評家にも注がれているだろうということを覚悟しなければならない。

しかしこの評論という行為に、私は止みがたい魅力を感じてしまう。それは自身の内部から沸き起こる表現欲求をオリジナルとして発表するに至らない者の悲しい自慰行為ではある。その行為にいかなる学術的土壌が育まれようとも、それはやはりオナンの罪と比せられる。自虐的に過ぎると見られるだろうが、結局そんなものだと思うしかないのだ。そこで、評論の入り口に立つ者として私はまず第一に考える。評論は、生産者に対して消費者が見せる有形無形の反応を見え易くするための補助行為であり、同時に、消費者に対して氾濫する情報の中で作品を理解するための新たな視点を提供するための援助行為である。そして、弁証法的に言うならばその先により良い読み手、より良い書き手を生み出すことを期待することを遠くの目標として掲げるべきでもある。決して、何があろうとも、衒学的である以外には批評家、評論家は超越的な断罪者などではありえない。

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こうやって書いてみると、感情的に過ぎることがありありと分かる。
# by obsessivision | 2007-10-15 14:54

再開のお知らせ

もうこのブログ主が生きているのかさえも省みられなくなったと思います。
私自身も既に、物語を作るということにつまづいて一月、二月、と経つうちに書くことさえも頭の中から抜け落ちていってしまっていました。それか1年余、mixiという便利なツールを知り、それを使うようになり、また私自身論文を書く時期に入ったのもあって、ネットで自身の文章を披露することへの向き合い方が変わってしまったように思います。

こんなことすら言い訳に響くかもしれませんが、昔見てくださっていた方々には、ご期待に沿えなかったことを本当に申し訳なく思っています。

もう一度このブログをゆっくりながら再開してみようと思います。
3日坊主ならぬ3月坊主の私が今回どこまで続けられるかわかりませんが、探り探り書いてみようと思っています。
ただ、今までのように物語のみを綴るのではなく、備忘録的な役割を担わせるつもりです。
大学での研究や論文で考えたことなど、思うままに書いていきたいと思っています。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

今まで自分のペルソナを作るように、ネット上で複数の表現の場を作ってきました。
映画評の場、悪口雑言を吐く場、スポーツに関するメモ、物語の場、そして社交の場(SNS)・・・・・。
しかし、本当に自分のための言葉を宿すところはなかなかありません。「顔」を分けるだけで、中心人格的なものは一つも作ることが出来ませんでした。

どうすればいいのか分からず、実際今も模索している段階です。
それは、数年前につけたこのブログタイトルがいまだ反映しています。
Thanatos of Nomad――流浪者は己の寄る辺なさに絶望し、死へと駆り立てられる…当時、そんな思いでこの名を付けました。
今こそ、その無根拠な感覚は大方なりを潜めましたが、完全になくなったとは言い切れません。
その思考の過程をここにつづり、また問うていければと思います。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

同時に、拙ブログでは物語も遅筆ながら続けようと思っています。
何か、このタイトル、テーマで話を作ってみて欲しい!!
そんな方がおられましたら、ぜひコメントに残していっていただきたいと思います。

再開する予定の拙ブログをどうぞ、よろしくお願いいたします。
# by obsessivision | 2007-10-15 03:13

霧上がる

彼は本当に癇に障る男だった。
誰かいれば難癖をつけ、絡もうとする。彼の振りかざす小ざかしい理屈も不快の原因だった。甲高い声でヒステリーのように断続的に文句を言い続けられると、それだけで殺意を覚えてしまう。
彼は力も弱く、ただ幼児のごとく気に入らないことをごねるだけだった。その釣りあがった目、坊主が少し伸びたような小さな頭、いつも着ている水色のフリースジャケットと色あせたジーンズ。

その日も食堂で彼はわめいていた。食堂は休日で休みだというのに、閉じられた厨房に向かってその苛立ちを隠せないでいた。
私はただそこに居合わせたというだけで難癖を付けられたのだ。ただでさえ雨の日が続くというのに、うっとうしい奴が寄ってくるのには我慢がならなかった。
しかし今日は何か勝手が違っていた。

彼は言う。「何で開いてないんだよ!」
「いや、だから休日だから」
「休日だって関係ないよ。今日は金曜日だって思ってたんだよ。おなか減らしてきたのに、なんで、今日は、食堂が、開いてないの?! 君だって教えてくれれば良いのに!」
この筋の通らない言いがかりは本当に腹が立つ。腹の中でうごめく怒りをもてあましていると、脇から友人の下村がやってきた。「どけ」

彼は激昂した。「ぼくが話してるんだ!邪魔しないでよ。何?君もグルなの?大体いつもいつも何でそんなにえらそうなんだよ。早く厨房開けてよ!人間の基本的人権を踏みにじるつもりなんだろ?!」
下村は音もなく彼の肩を掴むと、もう一方の大きい拳を彼のみぞおちに叩き込んだ。

彼はなす術もなく床に倒れこんだ。くずおれて横に倒れ、胃液が彼の口から流れ出た。少しの間息をしながら身震いしていたが、今は胎児のように体を丸め、死んだように動かない。
本当に死んだのだろうか。少し心配になって上から覗き込むと、そのやせ細った雛の死骸のようなシルエットから、彼の足が突き出し、私が座っていた椅子の足を苛立たしげに蹴った。

安心と呆れから興味を失った私は、食堂を出た。雨はやんでいたが、まだ濃厚な湿気が廊下に漂っている。ふと振り返ると、学生活動家の友人2人が彼を運んでいた。彼の細長く突き出た足がブラブラと揺れて運ばれているのを見ると、どうにも笑いをこらえられなかった。

友人2人は彼を中庭の椅子にもたせかけた。ぐったりとした姿は体を動かすことすら億劫だといわんばかりに、力なく椅子に体を預けた。
夜に雨がまた降るようだ。
# by obsessivision | 2006-05-12 16:44

無題

「・・・私、もうあなたとは会う気はないわ」
「本気で言っているのか」
「今まで何度もあなたに話そうとしてきたのよ。でもあなたは私に振り向こうともしないで」
「わかった。みち子はおれが育てる。慰謝料はあとで話し合う。それ以上お前とは話すことはない。みち子、行くぞ」
「いたい!パパ」
「あなた!みち子は私が育てるって言ったじゃない。何であなたはいつも勝手に決めようとするの」
「もういい。もともと今日は判を捺しに来てやっただけなんだ。じゃあな。みち子、元気でいるんだぞ」




「パパ!」
「みち子!!」
「みち子」
「あたしもいく。」
「わかってるのか?パパと一緒に行くとママにはもう会えなくなるんだぞ」
「・・・いい。パパといるもん」
「そうか。行くぞ」
「うん」
「みち子!!!」

後にした戸の奥から、獣ともつかない太い吠え声が聞こえてきたような気がした。少なくとも、人間のそれとは露ほども感じられなかった。
娘は私の袖にしっかりとしがみつき、もとより娘と私の二人しか存在しなかったかのように私の足取りは軽く、速かった。
# by obsessivision | 2005-11-07 15:56

Joint

ここ2ヶ月ほど手付かずになってしまいました。

話はなかなか纏まらないのですが、今後の「つなぎ」になりそうな言葉をおいておきます。

「『君が好きなんだ』
まるでそれは誓いのように。」

「いい加減に気付かなければならない。
お前がしばしば感じるその高みの幻影は矜持ではなく、己の醜く小さな意地によるものだということを。」

「『何者でもないやつがこの世でやっていくには、まず自分が何者かを思い知らなきゃいけないのさ』 
そう言って男は笑った。」
# by obsessivision | 2005-10-24 05:15